MONKEYCENTER

野生ザルの王国 淡路島モンキーセンター

淡路島群ボスの資格

What it takes to be boss

Maki

一般にグループのリーダーと言われるボスサルは、体が大きく、力で群れを統率しているというイメージがあります。ところが、淡路島では、力ではなく優しさで群れをまとめ15年間にわたって群れのなかまから人気と信頼を得ていたリーダーがいました。それは、マッキーという7代目のボスです。マッキーは弱い子ザルや、体の不自由なサルの面倒をよくみていました。山から山へ移動する時も彼らがついてこられるように移動スピードを落としたり行動範囲を以前より狭くしたりしていました。序列関係が厳しいニホンザルの社会の中で、マッキーには、かばう、許す、助け合うといった優しさがあり、弱いサルが群れの一員として暮らしていけるような配慮をしていました。

サル社会のルールでは、若いオスは群れの周辺で、野犬など外敵がくると群れの中心に知らせる見張り役的な存在で、群れの中には決して入っていけません。マッキーも若い時はそんな立場のサルでした。そのころマッキーは母ザルを事故で亡くしたメグという生後六か月の子ザルに出会いました。メグは両手足に障害があり、歩くのも大変な状態です。メグに母親がいないことがわかると、マッキーはメグにグルーミングをしたり、抱いたりして面倒をみるようになりました。夕方になって群れが山に帰る時には、マッキーはメグを片腕に抱き、山に連れて帰りました。朝になると、メグを抱いて山から降りてきます。メグは群れの中心でエサを食べられますが、マッキーは群れには近づけません。マッキーは、少し離れたところから、まるで母親のようにメグの面倒をみていました。

このようなことがしばらく続き、群れに入れなかったマッキーは、やがてメグとの関係を認められ群れの仲間として暮らせるようになりました。当時は序列も低かったマッキーですが、仲間から信頼され、優しさもあったので、すぐにリーダー的存在になり、1993年にボスに選ばれたのです。

仲間から深い信頼を受け長い間ボスを務めたマッキーは、2008年、人間に例えると90歳の時、ボスの座を2位のイッチャンに譲りました。ところが、8代目のボスになったイッチャンは、乱暴で人気や信頼がなく、弱いサルのエサを平気で奪うなど大人げない行動が目立ちました。これを見かねた上位のオス達がタッグを組んでイッチャンに乗りかかって噛みつき、わずか3か月で政権を交代させました。実力行使による政権交代は淡路島では初めてのことです。

淡路島のサル達は、障害者体の弱いサルも仲間の一員として暮らしていけるよう、力とか争いでなく寛容性の高い共に助け合う社会のスタイルをマッキーの時から選択したのでしょう。9代目の新ボスとなったアサツユは就任当初、落ち着きがなく心配していましたが、ある日、母ザルからの世話が受けられなくなって衰弱した子ザルの面倒をみはじめました。これからは優しく信頼されるボスになっていくよう興味深く見守っています。

Maki the Boss